季節は春です
今日も空ではリリーホワイトさんが春が来たことへのあふれんばかりの喜びを皆へ伝えようと定期巡回中です。
残念なのは彼女が解する唯一の方法が弾幕言語であることでしょうか。
この季節は危なくておちおち空も飛んでいられません。先日も衝突事故が起こりましたからね。
当たったはずの白黒の魔法使いさんは逆に飛んでいたリリーさんをはね飛ばしてきましたが。
今、ふと思ったのですが、皆さん春をどのようにして過ごしているのでしょうか。
一度疑問に思ったことをそのまま放っておけるほど、私は落ち着いた性格をしていません。
早速、皆さんに聞いて回ってみることにしましょう。
なにか、新聞のネタになることがあるかもしれませんしね。
幻想郷の春模様
博麗霊夢の場合
「春はいいわよね。山々が息づくようで。私はこの時期はしょっちゅう山に出入りしているわ」
おや、霊夢さんはハイキングが趣味だったのですか。意外ですね。
「雪がなくなると新しい草花も出てくるし、小動物達も姿を見せ始めるわ。冬と違って食料に事欠かないのよ」
サバイバーな意見、ありがとうございました。
伊吹萃香の場合
「花見酒ー!!」
酔っぱらいは無視して、先を急ぎましょうか。
チルノの場合
チルノさん、やたら悲しそうですね。どうしたんですか?
「レティが、いなくなっちゃったの……」
……それは……
「チルノちゃん、大丈夫。また、春が過ぎて、夏、秋と来て、その後にはまた冬が来るのよ?」
「大ちゃん……」
「そうすれば、またレティとも会えるよ。ね?」
「…………うん!」
美しい友情ですね。霧の湖は今日も平和でした。
大妖精の場合
…私としたことが、大妖精さんにインタビューするのを忘れていました。
大妖精さんは……向こうに一人でいますね。何をしているのでしょうか……?
「ククク……ハァーッハッハ!ようやく来た!春が、待ちに待った春が!もうチルノちゃんに近寄る
あの雪女もいない!あの私とチルノちゃんの邪魔をする雪女が!今こそ私の季節!私の時間!私の時代!
この春、夏、秋が過ぎて冬が来る前に!私はチルノちゃんをオトしてみせる!後で吠え面書くがいい雪女ァ!!」
………
見なかったことにしましょう。霧の湖は今日も平和でした。
紅美鈴の場合
「皆さん、お花見に行くんですよー。いいなぁ……私はいつも留守番で……」
それは仕方ないでしょう。門番なんですから。まあ、他に門番がいないのもどうかとは思いますが。
「桜を見たことないんですよ。でも咲夜さんに聞いた話だと、まず全方向に大玉が放たれ、
蝶弾群が対象に狙いをつけ、少しの間小さく旋回した後に、線状に分裂しながら飛来。
また、粒弾が出現し、直下あるいは斜め方向にに断続的に降り注ぐ。
特に大きいものになると大玉も断続的に放たれるような植物なんでしたっけ?」
そんなスペルカードみたいな桜、私は見たことありませんが。
十六夜咲夜の場合
「さくらんぼとか、梅とか、いろいろな果実が取れるのよね」
ええ、まあ実り豊かな季節ではありますね。
「と、いうわけでどう?新鮮なさくらんぼの種を煎じたものなんだけど」
お断りします。私、命が惜しいんで。
パチュリー・ノーレッジの場合
「あら?もう春が来ていたの?」
ええ、質問する相手を間違えているなぁと薄々感付いていましたとも。
小悪魔の場合
「……春が、来ましたね……」
……?ずいぶん憂鬱そうですね?
「冬の間出来なかった本の天日干しを行わないと……梅雨が来る前に、ここの本を全部……」
……ご苦労様です。
レミリア・スカーレットの場合
「春だなんて、いいものじゃないわよ。これからは日が射す時間は増える一方なんだから」
そうですね。霊夢さんの服の脇の露出度も増える一方ですが。
「春最高!いいわね、春。このまま春が来てずっと夏のままだったらいいのにと思うわ!」
落ち着いてくださいレミリアさん。まずその鼻血を拭いてください。
フランドール・スカーレットの場合
「春は果物がたくさん取れるのよ」
ええ、それは分かりますが……落ち着きましょう、何故にスペルカード発動体制?
「禁忌 『クランベリートラップ』!!」
ちょ………いきなり………待っ……(ピチューン)
アリス・マーガトロイドの場合
………は、スルーしても構わないでしょうね。
西行寺幽々子の場合
「この季節には花見客が多くてねぇ。庭が大分賑やかになるのよ」
冥界に花見とは、また大胆な人間の多いことで……
「花見にと群れつつ人の来るのみぞ あたら桜のとがにはありける、ってね。まあ、賑やかなのもそれはそれで嫌いではないけれど」
そうですか。ところで、その山盛りのお菓子は?
「お供え物にってことでお客さんがくれるのよ。仏には桜の餅を奉れって」
なんかこの白玉楼が急に安っぽく見えてきました。
魂魄妖夢の場合
「桜が散るのはいいですけど、200由旬もある庭を掃除する身にもなって下さいよ!!」
ご愁傷様です。
橙の場合
「この時期は発情する猫が多いから、なかなか言うこときいてくれないんだよね……」
元から言うこときいてもらっているとは言い難いですけどね。
八雲藍の場合
……で、そこで何橙さんをストーキングしているんですか?藍さん。
「だってこの時期猫は発情期だって言うし、橙に悪い虫が付いたらと思うと心配で心配で!」
鼻血だらだらと流されて話されても全く説得力というものがありません。発情期め。
八雲紫の場合
「春眠暁を覚えず………zzz」
はい、次いってみましょうか。
リグル・ナイトバグの場合
「啓蟄って知ってる?この時期、虫が冬眠から覚めてくるのよ」
え、ゴキ
「『季節外れのバタフライストーム』!!」
いや、待って下さいって。分かってます。リグルさんは蛍ですとも。
「……本当に分かってる?」
ええ、この時期の蛍は平べったくて尺取り虫みたいにもぞもぞと気持ち悪く
「蛍符『地上の恒星』!!」
私は本当のことを言っただけなのに!?
ミスティア・ローレライの場合
「啓蟄って知ってる?この時期、餌が冬眠から覚めてくるのよ」
食物連鎖の階層では鳥>虫でしたね。
上白沢慧音の場合
「この時期は羽目をはずす連中が多いからな。引き締めるところは引き締めていかないと」
はあ、大変そうですねぇ。
「特に男女関係の風紀が乱れるんだ。女性を家に連れ込んだりと」
暖かくなると、どんな動物もそうなりますからね。
「ん〜………けーねー……?」
ん?今襖の向こうから聞こえてきた声は妹紅さんの
「帰れ!帰れ!さっさと帰れよう!!」
…………………
追い出されました。ひどい。
因幡てゐの場合
「春は出会いの季節。このクローバーの冠はどう?ひとつ3000円で」
五つ葉のクローバーは失恋の暗示だったと思いますが。
鈴仙・優曇華院・イナバの場合
「春になったって言っても、生活が何か変わるわけではないのよね。採取する薬の材料が変わるぐらい」
でもそこらじゅうでウサギが盛っているみたいですが。発情期と言うか。
「ウサギと人間なんて年中発情期よ?いちいち反応するだけ無駄よ」
うわあ身も蓋もない。
八意永琳の場合
「季節によって、というか温度湿度によって調合の材料を変える必要があるのよ。薬剤師はこれでも気候変化には敏感よ」
成る程。ところで今調合している薬は何ですか?
「うどんげったら春になっても取り澄ました顔でいるから、少しワイルドかつセクシャルになってもらおうかと思って」
なんでそんな心からの爽やかな笑顔を浮かべられるのか、それが一番不思議です。
蓬莱山輝夜の場合
「春って言ってもねえ……この竹林の中、春を感じられるものなんて筍くらいよ」
ま、竹の他には特に目立ったものもありませんからねぇ。
「そういえば、この間永琳が面白そうなことをしていたわね。モウソウチクによる妄想作用とかなんとか」
モウソウチクは孟宗竹であり、妄想がどうとは関係なかったと思いますが。
「それをどうにかするのが永琳の腕なのよ」
才能の無駄遣い以外の何物でもありませんね。もしかして、さっきのはそれか。
メディスン・メランコリーの場合
「これは梅の種を煎じたものなんだけど」
結構です。そんなにお前ら私を殺したいか。
霧雨魔理沙の場合
「秋程ではないが、やはり春にも収穫とか、実りといったイメージはあるなぁ」
まあ、そうですね。いいキノコとかが手に入るんですか?
「いや、今日はお前を収穫だー」
…………収穫されました。
そして、食べられました。
季節は春です。
帰り際、リリーさんを見かけたのでインタビューに挑戦したのですが、やはり彼女は弾幕でしか語り合おうとしてくれません。
ちょっと腹が立ったので天狗烈風弾をぶちかましてやりました。春のお返しです。
2,3発叩きこんだところで、リリーさんは動かなくなりました。きっと満足してくれたのでしょう。
この季節。やはり皆さんそれぞれ楽しんで過ごしているようですね。
とりあえず、こんな季節さっさと過ぎ去ってしまえばいいと思いました。